九月が永遠に続けば……
高校生の息子が、ゴミをゴミ捨て場に捨てに行って、そして帰ってこなかった……。
そこから始まる、ドロドロの愛憎劇。
高校生の母、佐知子の人称で、話が進む。
ミステリーであり、ホラーのようでもあり。官能小説のようでもあり。
ミステリーだから、謎解きが重要……なのでしょうが、そしてちゃんと、謎解きにはなっているのですが……
私は、そんなのはどうでもいいや、という感じになりました。
沼田まほかるさんの、独特の文体。
なかなか説明が難しいのですが、何と言ったらいいのでしょうか……。
女性の情念が、ある時は吹き出し、またある時は滲み出て……。
うまく表現できないのですが、民族音楽のような文体、と言ったらいいのでしょうか。
フェイク、小節、意表をついたメロディーラインやリズム……そしてそれから表現されるのはやはりドロドロの人間関係なのです。
ドロドロの人間関係を描きながら、
読者を恐怖のどん底に落としながら、不安に陥れながら、官能的にさせたながら……。
沼田まほかるさんの世界に、どっぷり浸かってみるのはいかがでしょうか。
九月が永遠に続けば……。
九月が永遠に続けば 沼田まほかる | |
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「九月が永遠に続けば」 沼田まほかる 新潮文庫 ドロドロの愛憎劇、ミステリー、ホラー、そして官能小説。 |
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