和菓子のアン　　坂本司　　光文社文庫

坂本司さんの作品を読んだのは、実は本作品「和菓子のアン」が、はじめてでした。

友人から勧められて読み始めたのですが、
本書が「ミステリー小説」に分類されるものであることを、内容から自分自身で知ったわけです。
その時の、率直な私の思いは、
「あっ、和菓子のアンって、ミステリーなんだ！」というちょっとした驚きと、
「私たちの毎日は、ミステリーに満ちている」という、発見でした。

和菓子のアン (光文社文庫)

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坂木 司
光文社 (2012-10-11)
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主人公は、高校を卒業する梅本杏子。
きょうこ、という名前なのですが、ちょっとふくよかで、デパ地下の和菓子売場でバイトを始めるので、「アン」「アン子」というニックネームを頂いてしまいます。というわけで、本書のタイトルも「和菓子のアン」なのですね。

私も知らなかったのですが、和菓子には、いろいろな意味があり（ぜひ、本書を読んでください。その知識を得るだけでも、読み得くですよ）、
例えば、その和菓子を、先日は◯◯個買ったのだけど、今日はひとつ減って……といったことから、相手の置かれた状況を推理し、問題解決をする、と言った感じのないようなのです。

重くはない、どちらかというと軽い内容ですが、
毎日の3時に、ちょっとした和菓子と一緒にお茶をいただく。そんな感じの「和菓子のアン」。
美味しく、気持ちのよい時間が過ごせます。

雑誌に連載された本作ですが、全体を通しての構成も、まるで和菓子のように、繊細ですよ。

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