2016年度週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位、第7回山田風太郎賞
壮絶だった。読んでいる途中でノンフィクションかと勘違いするほど、精緻だった。
圧倒的な取材。
その取材をさらに凌駕するほどの創作力。これが「罪の声」の凄さを感じさせてくれる要因には違いない。
Contents
グリコ・森永事件
題材は、グリコ・森永事件。
主人公は京都でテーラーを営む曽根俊也。彼は、2015年の夏。自宅の2階で、整理し切れてなかった父の遺品から、黒い手帳とカセットテープを見つける。
そして、そのカセットテープから聞こえてきた声は、“ギンガ萬堂事件”(ギン萬事件)の脅迫犯が使った子供の音声。そしてその声は、間違いなく自分の声だった。
これがイントロダクションです。
もう、たまらないです。読みたくなりますよね。
実際、読み始めると、止まらなくなります。
実際に起こった極めて不気味な事件が題材であり、作者の塩田武士のフィクションなのですが、事件の起こった日時や場所、脅迫文などの文言はほぼ事実通りとのことで、サスペンスは満載。まるでこの小説の通りに事件が進行したように思えてしま雨のです。
ジャーナリズムとは
物語の面白さは言うまでもなく。
私が登場人物の中で感銘を受けたのは、阿久津英士と言う新聞記者。
文化部の記者でありながら、本件を追うことになるのだが、その追いかけ方に、壮絶なものがあるのです。
本物のジャーナリズムをこの小説の登場人物の中に見たような思い。
本書「罪の声」で扱われている事件が、実際にあったものであるが故に、新聞記者も、このような活動を日々しているのであれば、無くてはならない仕事なんだと思いました。
しかし、リアルな世界、特に現代では、そこまでジャーナリズムが機能しているのでしょうか。
さて、まず、圧倒的に面白いです。物語として没入することができます。
また、登場するジャーナリストの行動力とインテリジェンスに、感動さえ覚えました。一方で私は、今のジャーナリズムに関して、少し不安や不満を覚えました。
罪の声、マジ、面白いです。力作です。
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