人は、人生のゴールを感じ取れる年齢になってくると、いろんなことを考える。
自分の人生に満足している人なんて、どれくいいるのだろうか。
この小説のオリジナルタイトルは、「July,July」。
村上春樹は、「世界のすべての人の7月」と訳した。「すべての人」。村上春樹は、なぜ、世界のすべての、と訳したのだろうか。
和訳は「すべての人」となっているけど、この小説を読んで欲しいのは、50代の男女。あなたは、何を失い、何を得たのか。そしてこれから。
「世界のすべての人の7月」。
大学を卒業して、数十年振りの同窓会。
様々な経験をして、様々な思いを抱いて集まった同級生たち。
夏の暑さの中で繰り広げられるダンスパーティー。
官能的であり、センチメンタルであり、豪腕であり、犠牲者であり、アルコールであり、セックスであり……
そう、7月はすべての人のもの。何かを得るために、何かを失った人たちの。でもそれは、いつ失ったのか。そして、いつ得ることができたのか、あるいは、できるのか。