夏服を着た女たち。原題はGirls in their summer dress
もう、そのタイトルで、やられてしまいますよね。
私は毎年、夏が近くなると、常盤新平が訳されたアーウィン・ショーの「夏服を着た女たち」を読みたくなるのです。
でも、実は、夏の話ではないのですよね^^; 秋の終わりの話。でも、ニューヨークは美しく描かれています。
私は、訳者であり直木賞作家でもある常盤新平さんほどは、夏服を着た女たち、には感動はしませんでした。が、本書に組み込まれているラスト3篇は、面白かったですし、特に最後の「憂いを含んで、ほのかに甘く」は、絶対に読むべき短編。おススメです。
お勧めは、ラスト3篇
本書は短編集。
20世紀初頭のニューヨークやパリなどを舞台にした男と女の、甘く、苦いストーリー。使い古された言い方になりますが、洒落た、しかしほろ苦い苦いカクテルを飲むような、短編たち。
描かれているのは、男女のストーリー。恋であり、結婚であり、それらと関わりながらの人生の栄光であり、挫折であり……。
そして圧巻は、ラスト3篇。
- 「死んだ騎手の情報」
- 「フランス風に」
- 「愁いを含んで、ほのかに甘く」
「死んだ騎手の情報」
もう少しタイトルとしては、素敵な訳し方があったのではないか、と思うのですが。
話はミステリーっぽく展開。主人公と登場する女性の関係が、私は気になりました。
「フランス風に」
タイトルはもう少し何とかならないものかとは思いますが。
ネタバレになるので、内容は言いませんが、まあ、確かにフランス風なんですね。素敵なお話です。
「愁いを含んで、ほのかに甘く」
これが一番圧巻でした。
原題は ですので、日本語タイトルとしては、もう、これは素晴らしいタイトルだと思います。
今の時点から、一本の電話をきっかけに時を遡る。そこから時間は今に向かいながら、甘い時間が流れながら、突然の……。
突然の何かは、読んでからのお楽しみですね。
「愁いを含んで、ほのかに甘く」は、日本映画のWの悲劇が盗作した、と話題になりました。
訳者の常盤新平氏が、「愁いを含んで、ほのかに甘く」の盗作である、とアピールしたのです。
私が思うに、明らかに、盗作だと思います。
この件は、
ウィキペディアにも上がっていて「小林信彦ははキネマ旬報上で「ヒントを得ることは盗作ではない。これを盗作とすれば、日本映画の大家の名作、現代日本文学の代表作の幾つかが、盗作になってしまう。」と援護するコラムを書いた」ということですが、このレベルは、ヒントを得る、どころではありません。盗作だと思います。
まあ、いいや、そんな話は。
いずれにせよ、憂いを含んで、ほのかに甘く、は何度読んでも深い味わいのあるカクテルです。そのフレーバーは、タイトルの通り、憂いを含んで、ほのかに甘いのです。でも、そのフレーバーは、切ない想い出になるかもしれません。
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