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あ行(作者名) な行(作品名) 経済・評論・ビジネスなど

日本文化の論点 宇野常寛 ちくま新書

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【今日の一言】
もう、始まっているよ

最近(2018年2月)の話で言うと、貴乃花と大相撲の組織の問題。
どうでもいいと言えばいいのですが、分かりやすいのでここど取り上げさせていただきますが……。
仮に、大相撲の組織が腐っているとして(あくまでも仮にですからね)、それを中から直そう、変えていこうとするのって、むりなんじゃね? という話なのです、「日本文化の論点」の大事なところは。たぶん。

平清盛と源頼朝

本書を宇野常寛さんが執筆していた当時放映していた、NHKの大河ドラマ「平清盛」を引き合いに出し、論を展開していきます。
当時「平清盛」は大河ドラマとしては評判がそれほど優れなかったのですが、宇野常寛氏は、平清盛の大ファンだったのです。
なぜ、彼は大ファンだったのか。それは、
彼が本書で展開した、今の世の中がダメだと思って、そこで改革を目指しても無理。デファクトで新しい社会を作っていくしか無い、という主張を、大河ドラマ「平清盛」がまさに表現していたからに他なりません。
平清盛を、平安時代の腐りきった貴族の世界(今の政治や会社・社会、官僚組織などのアナロジー)を改革しようとした人で、かなわなかったのに対し、源頼朝は、鎌倉という貴族とはほとんど関わりのない別世界で、貴族を無視してデファクトスタンダードで鎌倉幕府を作って、そちらが成功した、という話。
宇野常幸さんは、これはいつの時代もそうで、終わった世界を変えようとしてもどうしようもなく、でも、気づいたときには既に他の新しい世界が始まっている、というのです。

もう、終わってますって、今のシステムは。古いって。そこでしがみつかなくっていいでしょう

日本文化の論点の中で、語られているのは、「昼の世界」つまり、政治や今の経済、学校など、既存のシステムを「昼の世界」と呼んでいるのですが、それらはもう、疲弊して機能していないということ。正にそうですよね。
どうしてみんな、今の会社や学校システム(偏差値の高い大学に向けての受験など)が全て、と思っている人は流石に多くはなくなってきたとは思うのですが、それでも、未だ、日本の教育や学校の先生、子どもたちをお受験に走らせる親、経団連に加盟しているような会社の偉い人が喋ること、そんなものごとを見ていると、どうしてみんなまだそっちにいるの? もうそっちは終わっているよ、と思うのです。
つまり、これが「平清盛」で言うところの、貴族社会。
そして、「平清盛」で言うところの鎌倉幕府、これは日本文化の論点でいうところの「夜の世界」ですが、これがはもう、既に発展している、と宇野常寛は言うのです。それは、インターネットの世界。
私も、正にそうだと思います。

そしてインターネットの夜の世界から、シンギュラリティへ

本書が書かれた当時から、時は数年流れていますが、その間にもリアルな世界は既に大きく変わっています。宇野常寛さんが本書で語っている「夜の世界」が形を変えて、規模を変えて、次元を変えて進化しているのです(これは私の解釈ですが^^;)。
この辺りは、宇野常寛さんの新しい著作や落合陽一さんの著作等を読むことがいいかと思うのですが。
いずれにせよ、シンギュラリティの世界をより理解するためにも、「日本文化の論点」は読んでおくべき1冊だと思うのです。
今でも、いや、本書が出版されて既に数年経った今だからさらに、日本の昼の世界が、もう機能不全に陥っていることがよくわかります。

いつまでも、昼の世界にしがみついていると、仕事がなくなりますよ。まあ、それでもいいのかもしれないのですが。


;日本文化の論点 (ちくま新書)

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