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か行(作品名) ま行(作者名) 小説 日本・国内作品

神去 なあなあ 日常(かむさり なあなあ にちじょう) 三浦しをん

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【一言感想】
もう、やり方に限界がきているような

「神去 なあなあ 日常」
映画にもなりましたね。私は映画はみていないのですが、小説を読んだとき、面白く、ドキドキして、そして考えさせられました。

高度経済成長時代に忘れてしまった生き方

私が子供の頃、つまりそれは50年位前、ということですが。
父は小学校の先生をやっていました。で、どうも給料が安いらしく^^; 給料日から半月くらい過ぎた頃から、我が家の食料が底をついてくるらしいのです。
そうなると、私と姉は、母親や祖母に連れられて、歩いて5分もかからない海岸まで行くのです。
そして何をするか……潮干狩りなのですね^^;
故郷の広島では、潮干狩りなんて洒落た言葉ではなく、ストレートに「貝掘り」と言ってましたが。
祖母とはよく、裏の山(桃がたくさん実ったので、桃山と呼んでましたが)に入って、ぜんまいとかわらびとか採りました(あまり好きじゃなかったけど)。

その海岸は、今はアサリの種を蒔いてお金を支払ってなら潮干狩りができるけど。桃山はその山肌は削られ、小さな一戸建ての住宅が所狭しと建ってしまいました。人口は減っていっくのに……。

山も生きている。私たちも生きている。その関わりを考え直す時が来た

里山とは、里海とは。人の暮らしと山や海の命が交錯するところ。
そこまでは人も山や海に入っていいとされているところ。
そのエリアなら、それぞれのエネルギーを交換できるところなんですね。
でも、そこに人は住めないし、住むと、人と自然の生態系が狂ってしまいます。

里山エリアよりさらに奥に入り、犯してはいけないエリアに住むということは、自然からの大きな反動を生んでしまうのです。
それは、鉄砲水だったり、土砂崩れだったり。

山や海と人を含めた生き物は絶妙のバランスでそれぞれが生きてきたのです。

しかし、私たちは、高度経済成長時代に、山や海のことは考えず、人間の効率だけを考えて、山や海の、分け入っては行けないエリアを犯してしまったのだと思います。
今こそ、もう一度、山や海と上手に生きていくライフスタイルを取り戻すときなのではないでしょうか。もう手遅れかもしれませんが。
このあたりのことは、ぜひ、藻谷浩介氏の「里山資本主義」も読んでみてくださいませ。

里山との関わりは、人と自然にとって、とても大事なものだったんだ

と、固いことを書いてしまいましが、そうは言っても、さすが、三浦しをん。
「神去 なあなあ 日常」はメッチャクチャ面白いです。
私は、あるくだりを地下鉄の中で読んでいたのですが、笑いが堪えられず、やばかった。

人と自然の関わりをこういう形でエンターテインメントにしてもらえると、嬉しいですね……。
ラストの盛り上がりは、スリルとスピードと抱腹絶倒。
まさか、こんな展開になるとは……。

読み終わった後、体と心に清々しい風が吹き抜けます。
面白いです。
これからは本当に、こういう時代が戻って来て欲しいと思っています。

今の生き方を考える上でも、今の子どもたちに何を残すべきかを考える上でも、ぜひ、読みたい一冊です。

◆ ぜひ読んでみてください

神去なあなあ日常 (徳間文庫)

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