エッセイ

「いい意味で」そして「なんちゃって」の法則

先生と呼ばれるほどのバカでなし。
よく母に言われたものだ。

煽てられて調子に乗るなよ、ということだ。さすが私も母である。私がお調子者であることは私が小学校に上がる前から見抜いていた。

言葉の真意は難しい

「先生」もそうだけど、文字通りであればリスペクトしてるのに本心はそうでもない、という言葉は多い。
貴様、なんてその典型だと思う。尊敬のことばが二つ続いてるのに、貴様と呼んだ相手に対しては大体悪感情を抱いている。
めでたいやつだなあ、の「めでたい」も、本来いいことなのに、なんか人が良すぎてバカ、というニュアンスだ。

逆もある。
バカは多くは本来の意味で使われるが、

遠距離恋愛中の彼女に会いに行くのに、お金があまりなくて7日間歩いて会いに行った時など彼女から「え、歩いてきたの?バカだなあ」と言われた場合。この場合はきっと褒められているのだと思う。
いや、この例は微妙だなあ。まあ、いいか。
関西で「あいつはほんまもんのアホや」と言われたら、それは褒め言葉だと思うし。(自信ないが)

「いい意味で」と「なーんちゃって」という大発明

ポジティブかネガティブか。微妙にわからない時がある。
「あいつバカだよな」
「あいつめでたいな」
「大先生だよな、あの態度」

まあ、こんな発言があったら大体ネガティブだ。が、発言した本人は、実はポジティブな意図だったのかもしれない。とにかく、会話などの流れからでも微妙な時はある。

そこで、誰かがある時、最後に「いい意味で」という言葉をつけた。

「もう、本当にお前はロクデナシだな、いい意味で」

「バカにつける薬はないよ、いい意味で」

「能天気なやつだな、いい意味で」

とりあえず、いい意味で、をつければなんとなくポジティブで着地できたような気になってしまう。
けど、大体、これって、発言者が「しまった、ちょっと言い過ぎた」という時に付け加えますよね。
本来の「いい意味で」ということもあるけど、「いい意味で」をネガティブを紛らわせるために付け加えることも多いのですよ。
ネガティブかポジティブかわからない発言の後に、さらにネガかポジかわからない言葉をつけるともういけません。

ということで今後、いい意味で、は使用禁止にしたい。

もう一つ、ビッグフレーズがある。

「なーんちゃって!」だ。

もう若い人はご存知ないだろうが、この「なーんちゃって」の起源はラジオ番組に届いた葉書からで、かぜ耕二のたむたむたいむ、オールナイトニッポンの鶴光やタモリがの葉書に以下のようなことが書いてあった。
(詳細は記憶が曖昧で違っているかもしれませんが、ご容赦を)
山手線か中央線で、おじさんが誰かに絡まれて、泣いていた。絡んだ男がどこかに行ったあと、ケロっとして両手で輪を作りそれを頭頂部に当てて、満面の笑顔で「なーんちゃって!」と叫ぶ。

これは破壊力半端ない。

「なーんちゃって!」っと付け加えるだけで全てが解決するように思える。
が、劇薬だけに用法をを間違うと大変なことになる。

「なーんちゃって!」は自分で自分の行動や発言に対してだけ、付け加えることが許されるのだ。

「お前はバカだな、なーんちゃって!」

これは成立しない。
いくら「なんちゃって」をつけても、バカであることを否定しきれない。

「俺はもう全てやる気を失ったよ、もういいよ。なーんちゃって!」

これなんですよ、これ。

自虐だけではない。感情が昂って何かを発言したり行動したりした後には、みんなぜひ使って欲しい。「やったーー、やり切ったー、いいぞーー、俺。……なーんちゃって!」

こんな感じで使うと、まあ、いい奴感は出てくると思う。変わった奴感も同時に噴出するが。

僕は、どう評価されたいか

人からの評価は、基本的には気にしないようにしているけど、僕は大学時代に一度だけ、バイト先で「バッキャロー」と罵られたことがある。それだけのことをしてしまったのだが、まあ、落ち込むよね。

ちょっとまた、前回の記事に続いてエッチな話になるけど、
男性が女性と「いたした時」、その女性からどう評価されたいか。
まあ、評価は高くありたいものなのですよ。

「よかったよ」とか「最高」とか言われると、そりゃ嬉しいものだと思います、はい。

昨日、私の敬愛する文豪 開高健さんのエッセイを読んでいて、ある文章のテーマがまさにこのことだった。
酒場(バー)で、開高健氏がこのことについてマスターと話していたら近くに座っていた、
中年の紳士がこの会話に参加してきたそうで、
その人が言うには

「私は、相手の女性が上り詰める瞬間、日本一!」と叫ばれたことがある」

日本一か。
これはどうなんだ? 桃太郎じゃあるまいし。
日本の成人男性はどれくらい存在するのだろう。少なくとも数千万人はいるわけで、この女性は何を根拠にそう叫んだのでしょうね。
でも、
面白い。

さて、「いたすいたさない」は別として、

僕は、男女問わず、どう自分を評価して欲しいだろう。

日本一でなくてもいいし、オンリーワンとか、ちょっと恥ずかしいし。
イヨッ!大統領 と言うのもバカにされた感じだし。
いいぞ!総理大臣 なんて、完全に評価が低すぎる。

男前。ですかね。

みなさん、私と一緒に仕事をしてして、ああ、こいつはいい仕事してるなあ、と感じたら
「お前は男前だなあ」と評価してください。

なーんちゃって!!

嘘ですよ。

ともに、いい時間を楽しめて、それで喜んでくれる人がいてくれればそれでオッケー。
全部、いい意味で。

 

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