アメリカの信号機

エッセイ

右という概念がない男……ある才能のある変態の話

仕事ができる優秀な人間というのは間違いなく変態である。
このことは多くの人に賛同していただけるに違いない。
私の近くにもそういう男がいるんですよ。

そいつのことは、まあ、ちょくちょく変な奴だな、とは思っていた。
Twitterに上げる記事、企画書を作る時の拘り、もっといろいろあるけど、それを書くのはここではやめておく。
何より、こいつは変人かつ変態だ、というポイントを見つけたので、それを紹介すれば、皆さん、間違いなく「ああ、確かに」と納得してもらえるはずだから。
そいつのことを、ここではK君と呼ぼう。

それは千葉県のK市でのドライブで発覚した

ドライブといっても、僕たちは遊びに行ったのではなく、ある仕事の事前取材に行ったのだのだ。K市は、僕たちのオフィスがある東京と港区から直線距離はそんなにないんだけど、実際行くとなると高速バスに乗らなければならないし都合1時間半から2時間くらいかかる。
ところが件のK君は、K市の近くに住んでいて、自家用車でその場所に直行し、高速バスでたどり着いた私たちをピックアップして取材に出かけた。
つまり、彼の車で彼の運転で移動して取材した、ということだ。

ナビゲーター、戸惑う

いくら近所に住んでいても、彼はK市に関しては詳しくない。
助手席に座ったT(こいつも負けず劣らず変人で変態なんだけど、その詳細を発表するにはもう少し時間が必要なので、待ってくださいね。本人の許諾も必要だし)が、iPhoneでGoogleMapを見ながらナビゲートを始めた。

「次、左です」
「次、まっすぐです」
「次、左です」
「道なりです」
ここまでは良かった。
ところが。
「次、右です」
このナビゲーションに対してK君は
「ごめん、僕には右という概念がないので、右って言わないでくれる」

どういうこと?

右という概念がない

K君は右という概念がない。
だから右と言われても、右か左かわからない、という事象が発生する。
一方で左という概念はある。
だから、右折してくれ、とお願いするときは、「左ではない方」とお願いするわけなのです。
どうですか?変態ですよね?

そして、この概念は、伝染するのです。

変だな、分かりづらいな、と思いながら私は後部座席に乗っていたわけですけど、さらにこと後、不思議なことが起こってくるわけです。
「左です」「左じゃない方です」これを繰り返していると、何と、これが当たり前のように感じてくるのです。

T君がたまにフェイクを入れて
「次、右です」と言ったりすると
「やめてくれ、わかんなくなるから」と叫んだりしている私がいるわけです。「左と左じゃない方」にすっかり慣れてしまったわけです。ほんの20分くらいで。

  1. 左に曲がる、と、右に曲がる、は、2つの概念があるのですが
  2. 左に曲がる、と、左じゃない方に曲がる、は1つの概念しかないのです。

つまり、1.には左と右の二つの概念があるのですが、2.には、左の概念しかない。
シンプルなのはBであり、変態君なのですね。

と、いろいろ考えさせられたK君と一緒のK市のロケハンでした。

ちなみに、私のまた別の知り合いで、「右を指差しながら、左に曲がって」とやる人がいるのですが、それはまた別の話だと思います、はい。

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